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口腔ケアのポイント―口腔清掃

[公開日:2019/1/30 /最終更新日: 2019/1/30 ]

今回は、口腔清掃についてご紹介します。セルフケアが出来る方も介護を受けられる方のケアも、基本的にポイントは同じです。歯磨きをすると、バイオフィルムが壊れて中にあった細菌がばらまかれます。うがいが出来る方は、磨いた後にしっかりうがいを、うがいが出来ない方は口腔保湿ジェルを塗布して絡め取ったり、口腔ケア用ウエットガーゼで拭ったりして、細菌を口の中から吐き出すことが重要です。

DOCTOR’S PROFILE

口腔ケアのポイント―口腔清掃

東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 医歯学専攻
老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野

教授

とはら はるか

戸原 玄先生

口腔ケアのポイント―口腔清掃

口腔清掃の基本的なポイント

「バイオフィルム」を壊す

「バイオフィルム」というのをご存じでしょうか?例えば台所のごみ受けなどはぬるぬるしていますね。これは細菌がごみ受けに付着して、さらに自分自身を守るために身の周りに膜のようなものを張っているのです。
ごみ受けを掃除するときには、そのまま消毒して終わりにはせず、タワシなどでこすってきれいにしてから消毒すると思います。口の中の汚れも同様です。口の中の細菌もバイオフィルムを作って外からの刺激から身を守っているので、歯ブラシをせずにうがい薬だけを使ってもあまり効果は期待できません。うがい薬は、しっかり歯ブラシをしてバイオフィルムを壊した後に使用しましょう。

実際に、歯を磨くときにはあまり歯ブラシを大きく動かさず、しゃかしゃかと鳴らない程度に動かすのが良いです。歯の表面よりも歯と歯の間や、歯と歯茎の間の歯周ポケットに細菌がたまりやすいので、そういった隙間に歯ブラシの毛先を潜り込ませるように磨きましょう。

歯磨き粉を使うと泡立ちますが、実は、ラウリル硫酸ナトリウムなどの泡立たせる成分が口の渇きの原因になるともいわれています。口の渇きが気になるような方は、そのような成分が含まれていないものを使いましょう。

口の中の細菌を出し切る

歯磨き直後には唾液中の細菌の数が激増することはご存じでしょうか?当たり前のことですが、歯ブラシでバイオフィルムを壊すと中にあった細菌がばらまかれます。だから、磨いた後にはしっかりうがいをして、細菌を口から吐き出すことが大事です。

うがいが出来る方は良いのですが、うがいが出来ない方もおられると思います。このような方の場合は、口腔保湿ジェルを塗布して絡め取ったり、口腔ケア用ウエットガーゼで拭ったりしましょう。口腔ケア用ウエットガーゼは、唾液も同時に拭き取ってしまう場合があるので、使用後は口腔保湿ジェルを薄く塗布しましょう。

歯が無くても清掃を行う

また、歯が無ければ口腔の清掃はしなくても良いかというとそうではありません。実は頬の内側、上あごなどの粘膜や舌の上にも汚れが付着します。粘膜や舌は、歯ブラシではなく、口腔ケア用スポンジや舌ブラシで清掃しましょう。舌の清掃は、特に男性の場合、舌の奥の方に真っ白に汚れがたまっていることが多いので(解剖学的に男性の方がのどが広く、のどぼとけも下の方にあるので、のどの収縮が女性より悪くて汚れてくるのだろうと考えます)、口の奥の方から丁寧に汚れを取ると口臭予防にもなります。

歯が無ければ口腔の清掃は不要と考えられるかもしれませんが、歯があっても無くても、粘膜や舌表面も含めた口腔清掃を行いましょう。

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