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口腔ケアで予防する嚥下障害 -先行期 食べる準備-
[公開日:2021/1/29 /最終更新日: 2021/1/29 ]先行期とは食物を認識して口に運ぶ段階の事を指します。 高齢化が進む現代社会において、加齢に伴い嚥下機能(口の中の食物を胃にのみ下すこと)が低下し、食事に不安を抱える方が年々増加しています。食事前に口腔ケアを行う事で、先行期に口腔内が湿潤され唾液の分泌を促す作用があります。 口腔内の乾燥が強い、衛生状態が悪い方は食前の口腔ケアを行ってみてください。
SPEECH-LANGUAGE-HEARING THERAPIST’S PROFILE
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大阪赤十字病院 リハビリテーション科
言語聴覚士
たかはし こうへい
髙橋 浩平先生
嚥下障害を予防するために
言語聴覚士の役割
高齢化が進む現代社会において、加齢に伴い嚥下機能が低下し、食事に不安を抱える方が年々増加しています。
リハビリテーション職のひとつである言語聴覚士は、医療や介護の現場で嚥下機能が低下し、食事に不安を抱えている嚥下障害の患者さんに日々関わっています。
私たち言語聴覚士が患者さんの飲み込む力、摂食・嚥下機能を評価する際には、食べ物や飲み物を口に運ぶところから飲み込むまでをいくつかの段階に分けて観察しています。
今回は食物を口に運ぶまでの段階である「先行期」についてご説明します。
先行期とは
先行期とは食物を認識して口に運ぶ段階のことを指します。
この段階では視覚や嗅覚、ときには触覚などを駆使して今から口に運ぶ食物を認識します。
一見まだ口に入れていないので嚥下障害とは関係がないようにも思われますが、この段階でしっかりと食物の認識(何を食べるのか、大きさ、形など)をすることで、口腔内に唾液が分泌され、人は食事をする準備を整えることができます。
先行期は食事を始める準備をするという意味でとても重要な役割を担っています。
先行期と口腔ケアの関係性
食事前に口腔ケアを行うことで、先ほどご説明した先行期に良い影響を及ぼすことが多くあります。
口腔ケアのメリットは口腔内の清掃だけでなく、口腔内が湿潤され唾液の分泌を促すこと、しっかりと覚醒を促すこと、口腔内外の異常に気付くことができるなどがあります。
これらはすべて食べる準備段階である先行期にとってプラスになることばかりです。
私も患者さんの食事場面を評価する際は、事前の口腔ケアを丁寧に行うように心がけています。
どうしても「歯磨きは食事の後」というイメージがあるとは思いますが、口腔内の乾燥が強い、衛生状態が悪い方は食前の口腔ケアを行ってみてください。
★髙橋先生が携わる摂食嚥下障害予防普及団体SMAが運営する「嚥下チェッカー」はコチラ