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口腔ケアで改善する嚥下機能(1)
[公開日:2022/10/28 /最終更新日: 2022/10/28 ]口腔ケアは、口腔内の衛生状態を改善させるとともに
お口本来の機能も改善させることが分かっています。
口腔ケアが嚥下訓練の一種であることは、
「要介護高齢者に対するリハビリとは」 でも紹介いたしました。
では、今回は口腔ケアが実際にどのような嚥下訓練となり、
何が期待できるのかを2回に分けてご紹介いたします。DOCTOR’S PROFILE
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東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 医歯学専攻老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野
助教・教授(診療科長)
なかね あやこ
中根 綾子先生
とはら はるか
戸原 玄先生
嚥下(のみこみ)に重要な2つの要素を知りましょう
嚥下(のみこみ)に重要な「飲み込む力」と「咽頭(のど)の感覚」
嚥下訓練を行う理由は、嚥下の機能を維持させたい、回復させたいという目的をもって行うことが多いものですが、そもそも嚥下(のみこみ)の機能には、「飲み込む力」と「食物などを感じる咽頭(のど)の感覚」が非常に重要な要素となります。
従いまして、嚥下訓練は大きく分けて、「飲み込む力」に対する訓練と、「咽頭(のど)の感覚」に対する訓練に分かれます。
「飲み込む力」を改善させる訓練とは、いわゆる筋トレのイメージです。十分な栄養をしっかり摂り、そのうえで強化したい筋肉をそれぞれトレーニングします。
一方、「咽頭(のど)の感覚」を改善させるためには、口唇や舌・頬の訓練、歯肉マッサージ、のどのアイスマッサージ、口腔ケアが有効で、嚥下(のみこみ)そのものを促すものです。
「飲み込む力」を改善させる方法
「飲み込む力」を改善させる訓練として、舌骨上筋群(のどを持ち上げる筋肉)を強化する目的で行う①頭部挙上訓練や、②開口訓練などがあります。
①頭部挙上訓練は、仰向けに寝てつま先が見えるように頭だけを持ち上げ、その姿勢を1分間保持し、次に1分間休憩をします。これを3回繰り返した後、頭の上げ下げを30回繰り返します。ただし体への負荷が大きいので、注意しながら行いましょう。
②開口訓練は、最大限に開口をしたまま10秒間キープし、その後10秒間休憩します。これを5回1セットで1日2セット行うものです。顎の痛みなどがある方は注意して行いましょう。
次回は、「咽頭(のど)の感覚」を改善させる方法についてご紹介します。