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脳血管障害の方に対する口腔ケアのポイント(2)
[公開日:2023/10/30 /最終更新日: 2023/10/30 ]脳出血や脳梗塞などの脳血管障害のある方には、どの様なリスクがあるでしょうか。
様々なリスクが挙げられますが、脳血管障害の方は口腔機能にも障害が生じている場合があります。さらに、口腔内が不潔な場合、誤嚥性肺炎を発症してしまうリスクがあります。
では、脳血管障害のある方の誤嚥性肺炎を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。1つは口腔ケアの実施です。
前回に引き続き脳血管障害のある方向けの口腔ケア方法についてお話します。DENTAL HYGIENIST'S PROFILE
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NPO法人健口サポート歯るる
副理事長ひらまつ まきみ
平松 満紀美先生
脳血管障害の方への口腔ケア・ストレッチ方法について勉強しましょう。
前回のコラムでは、なぜ脳血管障害の方は誤嚥性肺炎のリスクがあるのか、口腔ケア開始前に注意すること、について紹介しました。今回のコラムでは口腔ケア時に注意することや、麻痺側のストレッチ方法について説明します。
口腔ケアの目的とは…
口腔ケアとは、歯磨きだけではありません。口腔には舌や頬などの粘膜も含まれます。また、義歯の洗浄も含んでいます。このすべてを清潔にすることが口腔ケアの目的です。
舌の位置にご注意!
口腔ケアに取り組む前には、舌の機能チェックも重要です。脳血管障害による片麻痺がある場合、舌が左右どちらかに偏ります。見分け方としは、舌を出した際、舌が偏った方と逆側が「障害がない側の身体(健側)」となります。また、逆に舌を口腔内へ戻した場合は、舌が偏った側が健側となります(図1)。
脳血管障害の方の口腔ケアでは舌の位置を把握しながら口腔ケアを行うことが大事です。
図1. 舌の機能チェック方法
口腔ケアの手順
- ①口腔内の汚れを確認し、口腔内の乾燥があれば水もしくは口腔ケア用のスプレーなどで湿らせてあげましょう
- ②その後、スポンジブラシで食べかすや汚れなどを拭いとります
- ③最後に歯ブラシで歯を磨き、必要に応じて歯間ブラシなども使用しましょう
- ※スポンジブラシは、水を含ませた後、しっかり絞りペーパータオルで水分を拭き取りましょう。
- ※使用する水は、常に清潔なものを使用してください。
口腔ケアの際、一度拭ったスポンジブラシをカップの中で洗浄すると白っぽく濁ります(図2)。
この濁り水は、うがいで吐き出した水と同じであると認識しましょう。
図2. スポンジブラシを洗浄した後の水の汚れ
麻痺側のストレッチを行いましょう
毎日の洗顔やひげそりの際に、頬を掌でマッサージするほか、ホットタオルによるパックで血行を促しましょう。また、下がった口角を指でつまむのも効果的です。舌のゆがみにはスポンジブラシで軽く押すようにストレッチしましょう(図3参照)。
図3. 舌のストレッチ方法
口腔ケアで口腔内を刺激することは、唾液分泌を促すことができるほか、脳への血流を促し活性化に繋がります。口腔ケアを出来ることから始めてみましょう。分からないことは、かかりつけの歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。