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健康な高齢者の口腔ケア方法について(1)
[公開日:2024/10/30 /最終更新日: 2024/10/30 ]年齢を重ねるとともに、口腔状態は少しずつ変化し、噛む力や飲み込む力の低下など、放っておくと健康に影響を及ぼす可能性もあります。しかし、口腔ケアや歯科医院での定期的なケアなど、「口腔健康管理」を日常的に取り入れることで、そのリスクを軽減し、いつまでも食事や会話を楽しむことに繋がります。 今回のコラムでは、健康な高齢者の方に対しての効果的な口腔ケア方法を2回に分けて詳しく紹介していきます。
DENTAL HYGIENIST’S PROFILE
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(公社)大阪府歯科衛生士会
やました まさよ
山下 政代先生
健康な高齢者の方の口腔ケア方法について説明します。
加齢と口腔ケア
いつまでも美味しく楽しく食べて、楽しく会話が出来る事は元気の秘訣です。ところが、年齢を重ねるにつれて、歯が黄色くなる・すり減る・亀裂が入る、治療した歯の増加、入れ歯を使っているなど歴史が刻まれます。
また、唾液の減少や噛む力、飲み込む力の衰えなどお口の機能低下がみられても、気が付かないままだと誤嚥性肺炎などのトラブルにつながってしまいます。
口腔ケアは歯磨きなどで口の中の清潔を保つだけでなく、健康保持や口腔機能向上のためのリハビリなどを含んだ幅広い内容のことをいいます。自分で行うセルフケアと歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを併せて行い、変化に応じた生涯にわたるお口の「口腔健康管理」が大切です。
そこで知っておきたい口腔ケアの方法をご紹介します。
1. 歯みがきは歯ブラシ選びから
口の隅々までブラシが届くように毛先が小さめのもので、歯肉を傷つけないように毛が柔らかいものがおすすめです。歯の根元がすり減って来ていますので、フッ素入りの歯磨き剤をおすすめします。
歯ブラシは鉛筆を持つように軽く持ち、毛先をあてて軽い力で細かく動かします。磨きにくい所や、歯並びの悪い所はヘッド部分が小さな毛束になっているワンタフトブラシを使いましょう。
2. 歯と歯の間の汚れを意識して
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは取れません。歯間ブラシやフロスを使いましょう。種類も多くぞれぞれの特徴にあった使い方をしましょう。はじめてつかう時は歯科衛生士に指導を受けられることをお勧めします。
3.「舌」や「粘膜」などの衛生状態も重要
高齢になると唾液の量が減り、舌の動きも鈍くなり、歯以外の部分にも汚れがつきやすくなります。そのままだと口内で雑菌が増加する原因となり、口臭だけでなく誤嚥性肺炎のリスクも高まります。粘膜や舌は傷付きやすいため、優しく磨きましょう。舌は専用ブラシを使うのもおすすめです。
4.入れ歯の手入れ
義歯用ブラシまたは固めの歯ブラシで、入れ歯の表だけでなく、歯肉に当たる裏側や部分入れ歯はクラスプ(歯にかけるバネ)がある部分を丁寧に磨きましょう。研磨剤入りの歯磨き粉は入れ歯を傷つけるので使用しないでください。
また、熱湯の使用は変形の原因になるのでやめましょう。水を流しながら義歯用ブラシで磨き、義歯洗浄剤に浸けて、ブラシだけでは落としきれない汚れやカンジダ菌などの真菌や細菌を除去しましょう。口に入れる前に、入れ歯用ブラシで浮き上がった汚れと義歯洗浄剤を洗い流しましょう。
ここまで、口腔ケアの中でも主に清掃に関する点について説明しました。次回のコラムでは清掃以外のマッサージや体操について解説していきます。