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口腔ケアのポイント―飲み込み検査・訓練

[公開日:2019/4/26 /最終更新日: 2019/4/26 ]

今回は、飲み込みについてご紹介します。飲み込む機能には、口腔機能だけでなく呼吸や姿勢も深く関係しています。飲み込む機能に問題が生じているかを調べる方法として、自宅でできる簡単な方法や医療機関での検査、そして、実際に飲み込む機能を保つもしくは改善するための訓練の方法をご紹介します。

DOCTOR’S PROFILE

口腔ケアのポイント―飲み込み検査・訓練

東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 医歯学専攻
老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野

教授

とはら はるか

戸原 玄先生

口腔ケアのポイント―飲み込み検査・訓練

飲み込みの検査・訓練について

自宅でできる反復唾液嚥下テスト

飲み込む機能が悪くなっているかどうかを自分でも簡単にある程度調べる方法があります。それが「反復唾液嚥下テスト」です。

まず、指を喉仏に当てながら唾をごくんと飲み込んでみてください。そうすると喉仏が持ち上がるのが確認できると思います。喉仏が指を乗り越えるくらい持ち上がったら1回飲み込むことができたと数え、30秒以内に何回できるか試してみましょう。3回以上できれば飲み込む機能に大きな問題はありません。

しかし、このテストでは機能に問題があることだけがわかり、具体的にその後どのような対策をすれば良いかまでは判断できません。飲み込む機能に問題を感じた場合には、医療機関で検査を受けることをお勧めします。

嚥下造影検査(VF)と嚥下内視鏡検査(VE)

医療機関で行う検査には「嚥下造影検査(VF)」と「嚥下内視鏡検査(VE)」があります。それぞれ以下のような方法で、メリット・デメリットもあります。

VF…X線で口や喉などを映しながらバリウムを飲み込み、バリウムが口から喉、食道を経て胃までしっかり通過しているかを観察します。この検査は痛みを伴いません。しかし、X線を使った検査であるため医療機関でしか受診できません。

VE…最近、医療機関に採用されるケースが増えています。胃カメラよりも細い「嚥下内視鏡」を鼻から挿入した状態で食物や飲み物を飲み込み、うまく飲み込めるかを観察します。鼻から内視鏡を入れるのである程度の痛みがあり、観察できる範囲も喉に限られます。しかし、放射線を使用せず、簡単に持ち運べる内視鏡で検査を行うため、要介護状態などで通院が難しい人でも医師がご自宅まで訪問して検査することができます。

飲み込むための機能訓練

ここで、飲み込む機能を保つもしくは改善するための機能訓練のうち、ある程度障害があっても、あるいは元気ではあっても予防的に効果のある訓練をいくつか紹介します。

まず、「肋間筋」のストレッチです。呼吸と飲み込む行為は密接に関わっており、呼吸が浅かったり乱れやすかったりすると、飲み込みづらくなります。特に多少年齢が気になってきた方は肋骨と肋骨の間の筋肉を伸ばしておくと効果があります。腕を組んだ状態で頭を超えるくらいまで持ち上げてみると、脇腹が伸びるのが分かると思います。予防的に行う場合はいつでも、食べると少しむせるようなことがある場合には食前に行うのがよいでしょう。

姿勢も飲み込む行為と深く関係しています。誰でも年齢とともに柔軟体操が苦手になり、立ったまま地面に触れることが難しくなるもの。それは太ももの裏側の筋肉が硬くなっているからです。その筋肉がもっと硬くなると、ずり下がったような座り方しかできなくなり、食事のとき正しい姿勢を保ちづらくなります。正しい姿勢で食事が続けられるようにするには、立った状態で片足を椅子に置き、太ももの裏の筋肉をよく伸ばしましょう。

口を大きく開けることも飲み込む訓練になります。飲み込む時には、のど仏が持ち上がります。こののど仏を持ち上げる筋肉が口を開ける時の筋肉とほとんど同じなので、10秒大きく口を開ける訓練を続けると飲み込む機能が向上します。口を開く力が弱くなると、飲み込む機能が悪化するという報告もあります。

肋間筋や太ももの裏の筋肉を伸ばすストレッチは食前に行っても構いません。しかし、口を開く訓練は筋トレで疲れるので食前以外の時間に行いましょう。

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