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小児の口腔に関わること
[公開日:2021/1/29 /最終更新日: 2021/1/29 ]2018年に歯科診療所で小児の口腔機能に対応できる様になり、小児の口腔機能にも目を向ける機会が増えています。地域包括ケアシステムで全ての世代の人が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるために、小児においても多職種や保護者と連携し口腔衛生や機能を管理する事が小児の口腔に関わるこの現場でも求められています。
DENTAL HYGIENIST’S PROFILE
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公益社団法人地域医療振興協会 米原市地域包括医療福祉センター「ふくしあ」/北海道家庭医療学センター 浅井東診療所デイケアくさの川/医療法人益歯会 成田歯科医院/日本歯科衛生士会認定歯科衛生士(在宅療養指導・口腔機能管理)(老年歯科)/NPO法人摂食介護支援プロジェクト認定嚥下トレーナー
歯科衛生士
いしぐろ ゆきえ
石黒 幸枝先生
小児の口腔ケアについて
口腔機能発達不全症とは
2018年、口腔機能発達不全症という診断名で、歯科診療所において小児の口腔機能に対応できるようになりました。
口腔機能発達不全症とは、15歳未満の小児で明らかな摂食機能障害の原因疾患がないにも関わらず、「食べる機能」「話す機能」「その他の機能」が十分に発達していないか、正常に機能獲得ができておらず、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態のことをいいます。
既定のチェック項目で診断され、口腔機能の発達・獲得について指導を受けることができます。歯科診療所では、小児のむし歯対策や衛生指導だけでなく、口腔機能にも目を向ける機会が増えてきています。
児童発達支援センターの役割
地域包括ケアシステムは子どもから高齢者まで全ての世代の人が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるためのものであることから、どの世代にも関わることのできる歯科の役割が見直されています。
小児に関わるサービスの一つに、2012年4月から始まった児童福祉法に基づく児童発達支援センターがあります。
児童発達支援センターにはいくつかの役割がありますが、児童発達支援は0歳から6歳までの未就学児、放課後等デイサービス(以下、放デイ)は小学生以上の就学児が対象で、障害児のみならず発達の遅れが気になるお子さんも対象になり、療育機能および安全な居場所の確保と活動が提供されています。
そこでは、歯科にかかるきっかけがないまま受診の機会を逃している小児や、受診しても治療が難しいケースに遭遇します。各地域で、行政機関や歯科医師会が中心になり、それらへの対応がなされています。
多職種連携の必要性
放デイでは重症心身障害児のお子さんも、放課後や長期休暇を他の児童・生徒と一緒に利用されます。
歯科衛生士は歯みがきや食事摂取(おやつ、飲み物を含む)の指導をしますが、直接ケアをするのではなく、保育士や児童指導員、看護師と協力して行います。
写真のAちゃんは、児童発達支援を利用の時からのお付き合いで、保育士が療育の時間に音楽に合わせ口の周りを触ったり、歯や粘膜のケアをすることを取り入れました。
就学し、放デイを利用するようになってからは、看護師と連携して口腔の管理に努めています。
多職種や保護者と連携し、利用児の口腔の衛生や機能を管理することが、小児の口腔に関わるこの現場でも求められています。