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医科と歯科の連携の重要性について(1)
[公開日:2024/10/30 /最終更新日: 2024/10/30 ]本年度の診療報酬改定によって、医科と歯科の連携がより推進されることになり、重要なものとなりました。 また、口腔の状態と全身の健康状態は関連しており、口腔の問題が全身に影響を及ぼすことがあるため、医科と歯科での情報共有の重要性も高まっています。 今回のコラムでは医科と歯科の連携に関する重要性や連携の流れについて2回に分けてご説明します。
DENTAL HYGIENIST’S PROFILE
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(公社)大阪府歯科衛生士会
やました まさよ
山下 政代先生
医科と歯科の連携の重要性について改めて確認しましょう。
口腔と全身の関わり
口腔の健康状態と全身の健康状態は密接な関係があり、口腔内の疾患はさまざまな全身疾患と関連していることが多数報告されています。私たちは生きていくために食事を摂り、体が栄養を取り込めるよう口の中で細かく噛み砕き、各臓器で必要な栄養を吸収し、最後に不要なものを排泄します。このサイクルが正常であれば健康でいられますが、何処かが不具合を起こすと健康を維持することができなくなり、ドミノ倒しのように全身疾患が起こる場合もあります。
近年、がん等で外科手術や放射線療法、化学療法を受ける前後に歯科での口腔ケアを行なって口腔内の細菌を減らしておくことで、合併症のリスクの減少や術後の回復を早め、在院日数の短縮などにつながるといったエビデンスに基づいた報告が増えています。
令和6年度の診療報酬改定について
令和6年度の診療報酬改定では、医科と歯科の医療機関が連携して治療や予防を行う「医科歯科医療連携」が強く推進されることになりました。この改定の背景には、高齢化社会における全身の健康管理の重要性が増している現状があります。
歯科と医科が協力し、口腔の健康を維持しながら全身の病気を予防・管理することが、QOL(生活の質)向上につながると期待されています。例えば、内科や循環器科の医師が診察する際に、口腔内の状態を考慮に入れ、必要であれば歯科への紹介を行うという形が奨励されるようになりました。逆に、歯科においても、全身疾患を持つ患者さんの治療を行う際には、主治医との連携がより重要視されます。
ここまで口腔と全身の関係性、今年度の診療報酬改定について説明しました。次回のコラムでは医科歯科医療連携の流れ・連携の利点について解説していきます。