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⼝腔ケアにおける感染対策の重要性
[公開日:2020/7/30 /最終更新日: 2020/7/30 ]新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し、医療・歯科・介護職の方、患者さんやご家族の方、みなさん感染対策の重要性を感じられたと思います。 そこで今回は改めて、口腔ケアを行う目的の一つである感染予防効果と、口腔ケアを行う時の感染予防対策をご紹介します。
DENTAL HYGIENIST’S PROFILE
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(公社)大阪府歯科衛生士会
やました まさよ
山下 政代先生
口腔ケアと感染対策について
口腔ケアの感染予防効果
口の中は、常に300~700種類の細菌や真菌が生息しています。
私たちの体は腸内細菌と同じように、口の中の細菌と共存しています。
口の中に細菌が適切に存在することで、多くの病原体の感染を防ぐのです。
ところが、口の中が不衛生になり、細菌が増えてしまうと、一部の細菌が産み出す酵素(プロテアーゼなど)が、粘膜の防御機能を破壊してウイルス感染しやすくなることがわかっています。
また、飲み込む機能が弱っている方では、唾液に混ざった細菌が肺に入り、肺炎を引き起こすことも知られています。
口の中を清潔にして細菌数を減らすことが、誤嚥性肺炎やウイルス性疾患の予防につながるのです。
口腔ケアをする時の感染対策
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、飛沫感染や接触感染そしてエアロゾル感染 1)が感染ルートと考えられています。
このため、口腔ケアをおこなう時は、これらの3つの感染ルートに考慮した感染防止対策が必要となります。
現在、新型コロナウイルスに感染していても無症状の患者さんもいます。
そのため、全ての患者さんに対して、標準予防策 2)を徹底して、エアロゾル感染対策のためのゴーグルやフェイスシールド、定期的な換気など、それぞれの場に適した方策で、自分自身が感染しないことと、患者さんや他職種への交差感染を予防することが重要です。
*エアロゾル感染 1):マイクロ飛沫感染とも言われ、感染力を有する病原体を含む微小飛沫を介して感染すること
*標準予防策 2):全ての人の血液、体液、汗以外の分泌物、排せつ物、損傷のある皮膚、粘膜には感染性があると言う考えを基本に実施する予防策
具体的な感染対策
口腔ケアを行う際の感染対策についてご紹介します。
口腔ケアをする前
- 口腔ケアを実施する居室の換気を確認します。
(空気清浄機、窓を開けての換気などで室内のウイルス量を減らしておきましょう) - 口腔ケアに必要な物品を準備し、後から追加の無いようにしましょう。
- ケアの前に手洗い、手指消毒、うがいをしましょう。
- PPE(個人防御具:マスク・ゴム手袋・ゴーグル・フェイスシールド・キャップ・ディスポエプロンやガウンなど)
を必要に応じて身に着けましょう。
口腔ケアをする時
- 患者さんの健康状態をチェックしましょう。
(バイタルチェック(特に発熱の有無)、味覚・臭覚の障害などの確認、
在宅に訪問する場合は同居している家族の健康状態の確認) - 体位を整えましょう。
(全身状態やADLなどに応じて適切な体位をとり、誤嚥しないよう軽く顎を引く) - 患者さんの口の周り、顔や手を清拭しましょう。
- 患者さんがうがい可能なら咽頭や口腔内のうがいを行い、口腔内のウイルスを減少させておきましょう。
- 口腔ケアをする時は咳や飛沫やエアロゾルを暴露しないようにするため、
対面に位置を取らないで対角線上から実施しましょう。
(粘稠性のあるジェルタイプの口腔保湿剤を使用すると、口腔内の汚れや細菌の飛沫防止に役立つことがあります) - 新型コロナウイルス感染患者さんおよび疑い患者さんの義歯を清掃・消毒する場合、
口腔内から取り出した義歯は、汚染物の飛散を予防するため水洗前に消毒液で清拭し、消毒液使用後は十分に水洗を行い、
0.05~0.5%次塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールで清拭または30分浸透が推奨されています。
金属を使用している義歯は、次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、防錆剤添加が望ましいです。 - 使用するコップ、タオルなどは個人専用にしましょう。
出来ればタオルよりペーパータオルなど使い捨て商品を使いましょう。 - 歯ブラシや歯間ブラシ・コップはよく洗い、乾燥させて保管しましょう。
口腔ケアの終了後
- PPEを外す際は、汚染されたPPE表面に触れないように外しましょう。
- 口腔ケアに使用したゴミ・PPEはゴミ袋に入れ破棄しましょう。
- ケアの後に手洗い、手指消毒、うがいをしましょう。
(手指消毒をしないまま自身の眼や顔面に触れないようにしましょう。)
みなさんで連携して行う感染対策
感染防止対策は医療・歯科・介護職の方、患者さんやご家族の方、みなさんと連携して、
うつらないため、うつさないための対策を確立する事が大切です。
正しいことを知るための情報収集を積極的に行い、日常の中で実践していきましょう。